ヒステリー発症

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昨朝、カーテンを開けると外は雪だった。 ここは雪国ではないからその内やむだろうと高をくくっていた私は本当に馬鹿だ。 昼過ぎ辺りから家のあちこちで柱や屋根がきしむ音が聞こえだし、母屋で「ドカン!」と飛行機が墜落したかの如き大きな音がした。

ベルはビクリと耳を立て、走り出した私を制して私の先を駆け抜けた。 「危ないから自分より前に出るな!」とでも言うように。

夫が建てた物置の屋根がそっくり落ちて、農機具が雪まみれになっているのを見た瞬間、今までにない強い恐怖と動悸を感じ、立っていられず慌ててベルにしがみついた。

誰も住んでいない母屋は兎も角、このままでは私の家も危ないと引き返すと、居間のテラスのアクリル屋根の5枚の内3枚が落ちていた。

それを見た私はへなへなと座り込んだきり立ち上がれなくなった。 涙がとめどなく流れそれを拭う気にもなれないのだ。

このアクリル屋根は数年前の雪でも一枚落ちているのだが、その時は夫が生きていたせいか修理すればいい事だと割り切れていたのに。

続いてどこかでバリバリと何かが壊れる音がしたが、これ以上ショックは受けたくないので調べるのはやめようと動かなかった。 見に行こうが行くまいが壊れるものは壊れるのだから。

夫に逝かれて1年8か月、必死で生きてきたがこの無意味な強がりはいつまで続くのだろか。 可哀相な私と嗚咽が漏れた。 驚いたベルが必死で私の頬を舐め、生臭さに耐えられなくなってその巨体に投げ技を掛けると、いとも簡単にお腹を見せてひっくり返った。

その姿が可愛くて可笑しくて、今度は思い切りの大笑いだ。 空虚な高笑いを続けているとそんな自分が滑稽に思えて今度は黙りこんだ。 どこからかドスンドスンと雪が落ちて、何かが壊れる音が聞こえてくる。 無性に怖くなり耳を塞いだ。

暫くしてやっと私は我に返った。 悩んでいる暇はない。 潰れた屋根の下の物を避難させなければ水浸しになってしまう。 一人住まいだから自分でやるしかないのだ。 頑張れ私。

のろのろとゴム合羽上下を着こんで、やっと後始末を始めたのである。

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